近年、離婚件数は増加傾向で、シングルマザー(母子家庭)もどんどん増えていると言われています。
そんな中で、結婚しないで出産する「未婚のシングルマザー」の割合も増えているそうです。
このグラフを見ると、シングルマザー全体の1割以上の方が未婚で出産されていることが分かります。
この1割以上の未婚シングルマザーの方が、同じように子供を育てる離婚・死別のシングルマザーが受けられる支援の一部を受けることが出来ないというのです。
【未婚と離婚】税金の違い。
シングルマザーが受けられる支援の中で、未婚シングルマザーと離婚シングルマザーとの一番大きな違いは「寡婦控除」があるかないかです。
寡婦控除とは?
寡婦控除は、女性の納税者が所得税法上の寡婦に当てはまる場合に受けられる所得控除です。
控除できる金額は27万円、特定の寡婦に該当する場合には35万円です。(国税庁HPより引用)
それでは「寡婦」とは何なのでしょう。
「寡婦」と「特定の寡婦」
<寡婦の要件>
寡婦とは、納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、次のいずれかに当てはまる人です。
- 夫と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人です。この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。
- 夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人です。この場合は、扶養親族などの要件はありません。
<特定の寡婦>
寡婦に該当する方が次の要件のすべてを満たすときは、特定の寡婦に該当し、寡婦控除の額を27万円に8万円を加算した35万円とする特例があります。
- 夫と死別し又は離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない一定の人
- 扶養親族である子がいる人
- 合計所得金額が500万円以下であること。
(国税庁HPより引用)
離婚をして子育てをしているシングルマザーは「寡婦」に当たりますが、結婚しないで出産し、シングルマザーになった人は「寡婦」には該当しないということになります。
男性の場合の寡夫控除もあります。
男性の場合は、次の条件全てを満たすと寡夫控除を受けることが出来ます。
控除額は27万円です。
- 合計所得金額が500万円以下であること。
- 妻と死別し、若しくは妻と離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない一定の人であること。
- 生計を一にする子がいること。
この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
寡婦控除が受けられないとどうなる?
寡婦控除を受けることが出来ると、総収入から控除される額がその分大きくなるので所得が減ります。
ということは→税金が安くなります。
例:同じ収入の離婚シングルマザーと未婚シングルマザーがいるとします。
- 離婚シングルマザー
100万円(総収入)-35万円(特定の寡婦)=65万円(所得) - 未婚シングルマザー
100万円(総収入)-0円(寡婦控除なし)=100万円(所得)
(とても極端な例ですが)離婚シングルマザーの方が所得が少ないことになり、税金が安くなりますね。
税金の一例としては、「所得税」「住民税」などがそれに当たり、寡婦控除が受けられる離婚シングルマザーのほうが安くなるのです。
さらに、税金を基礎として計算される「保育料」「学童料金」「公営住宅の家賃」も離婚シングルマザーのほうが安くなります。
寡婦控除のみなし適用を実施している市も。
離婚シングルマザーと同じように一人で子育てを頑張っている未婚シングルマザーに対して「寡婦控除のみなし適用」という制度を独自で行っている市もあるんです。
税法上の控除には適用されないとしている市もありますが、保育料や家賃を離婚シングルマザーと同じように計算してもらえる可能性があります。
まとめ
離婚シングルマザーは離婚するまでにたくさん悩んで離婚を選び、1人で子育てを頑張っています。
未婚シングルマザーは同じように、妊娠・出産時にたくさん悩んで悩んでシングルマザーになることを決めたはず。
夫がいなくてひとり親として子育てしているのは同じです。
離婚シングルマザーと同じように寡婦控除が受けられるようになれば、貧困と言われるシングルマザーの生活も少しは楽になる家庭が増えるのではないでしょうか。
未婚シングルマザーにも寡婦控除を!という動きが始まっています。